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122 対抗心!?

Author: 栗栖蛍
last update Huling Na-update: 2025-09-15 08:03:25

「芙美何か言ってたか?」

 荒助すさの家に常備してあった経口補水液を半分飲んで、咲は蓮のベッドに入り込む。

 「寝てな」と渡された体温計を脇に挟むと、自分の熱で温まった布団に汗が滲んだ。

「心配してたよ。けど、俺が看るって言っといたから今日はここでゆっくり休みな」

「ありがとう蓮。熱があるって言ったら、家に帰されるかと思った」

「まだ雨降ってるし、ちゃんと水分摂って寝た方がいいよ。帰りたいっていうなら送っていくけど?」

「帰りたくない」

 蓮は「うん」とベッドの縁に浅く座り、持ってきた冷却シートを咲の額にペタリと貼りつけた。

 ヒンヤリとした感触が気持ちいいけれど、すぐに温くなってしまいそうだなと咲は思った。

 蓮は咲の頭を撫でて、音の鳴った体温計を確認する。

「やっぱ高いな」

「何度だった?」

「三十八度五分」

 蓮がデジタルの表示を咲に向ける。

「あれ位の雨なんて平気だと思ったのに」

「濡れながら身体動かすなら、終わってすぐに乾かさないと熱出るのは当たり前だよ。気分はどう? 落ち着いた?」

「どうにか。蓮が居てくれて良かったよ」

 そして今日湊を呼んでおいて、本当に良かったと思う。

 さっきの涙もこの熱も、きっと芙美に要らぬ心配をかけてしまうだろうけれど、彼がその不安を取り除いてくれるはずだ。

「俺は、泣いてる咲が嫌いじゃないし、ちょっと弱ってる咲も、これはこれで可愛いと思ってる」

「相変わらず変態だな」

「泣いてる咲を受け止めてやれるのって、俺だけだと思ってるから──違う?」

「──違わない」

 何だか熱が上がってきた気がして、咲はタオルケットを自分の鼻の位置まで持ち上げた。

 蓮の匂いがする。

「そういえば、このベッド借りてよかったのか? 僕が下でもいいんだぞ?」

「構わないよ。それに、上に居てくれた方が俺も動きやすいから」

 今日は咲がこの部屋で寝ることになって、蓮がすぐ横の客室から布団を一組運び込んできた。それに蓮が寝るという事は、もう一つの布団は芙美の部屋に残っているという事だ。

「あの二人……一緒に寝るのかな」

「心配?」

「心配」

 心配だと思うから、咲が芙美の部屋で寝ることになっていたのだ。

 なのにそんな当初の予定は咲の熱であっさりと崩れてしまった。

「大丈夫。メガネくんに限って変なことにはならないって」

「男は普段淡白そうに気取ってて
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